クッシング症候群ってどんな病気?どんな症状が出るの?

犬のクッシング症候群とは、別名「副腎皮質機能亢進症」とも呼ばれ、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌することで引き起こされる症状をいいます。聞きなれない症状ですが、副腎は生命維持のために大切な役割を担っている臓器なので、異常が生じると日に日に体調が悪化していき、突然死するケースもある危険な病気です。
目次
【症状】多飲多尿や脱毛などの
副腎の皮質から分泌されるコルチゾールは、ストレスから体を守ったり、炎症を抑えるはたらきをします。この効果がなんらかの要因によって亢進することにより、以下のような症状が引き起こされます。
・食事量が増える
・水をたくさん飲む
・おしっこの量が増える
・おなかが膨れる(肝臓の悪化)
・左右対称の脱毛がみられる
・皮膚が薄くなったりはりがなくなったりする
症状が進行してくると、元気がなくなって寝てばかりになり、免疫力が低下して皮膚炎などの感染症にかかりやすくなります。糖尿病や甲状腺機能低下症などの病気を併発しやすく、放置すれば命にかかわることもあります。
【原因】
副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることが原因です。過剰分泌になる要因は以下の3種類があります。
(1)下垂体性クッシング
脳下垂体に腫瘍ができ、副腎機能のコントロールができなくなってコルチゾールの過剰分泌が生じる場合です。
(2)副腎腫瘍性クッシング
副腎そのものに腫瘍ができ、副腎皮質ホルモンが多量に作られる場合です。
(3)医原性クッシング
アレルギー疾患やアトピー性皮膚炎などの症状を抑えるために長期間コルチコステロイド剤を使用した場合、副腎皮質ホルモンの分泌量が多くなってしまうことがあります。
クッシング症候群は主に6歳以上の犬によくみられ、特にダックスフンド、プードル、ポメラニアン、ボストンテリア、ボクサーなどの犬種が発症しやすい傾向にあるとされています。
【治療】一般的には薬物治療
クッシング症候群の治療は、一般的には副腎皮質ホルモンの生産を抑制する薬物療法が主体となります。腫瘍によっては摘出手術や放射線治療が行われることもあります。また、医原性クッシングではステロイド剤の投与を徐々に減らしていくことで改善をはかります。
【予防】気になる症状はすぐ診察を
クッシング症候群には明確な予防法がなく、早期発見・早期治療が重要になります。水をよく飲むようになった、おなかが膨れてきたなど、気になることがあれば、早めに診察を受けるようにしましょう。副腎皮質ホルモン剤の投与を受けている場合には、勝手に投与をやめたりせずに病院で相談するようにしましょう。