失明するおそれもある危険な進行性網膜萎縮(PRA)とは?

進行性網膜萎縮(PRA)は、目の奥にある光や映像を感じ取る網膜が変形、萎縮してしまう病気です。
【症状】進行性網膜萎縮(PRA)の症状
網膜にある光や色を感じる視細胞が変性、萎縮を起こすことで発症し、視細胞が減少して視力が低下します。
視細胞には、明るい場所で光や色を感じる錐体細胞と色を感じないかわりにわずかな光でも感じ取る桿体細胞があります。
進行性網膜萎縮(PRA)では、まず桿体細胞の変性・萎縮が始まり、暗くなる時間帯で視力が低下する症状が出ます。
最終的には錐体細胞も正常な働きができないようになり、周囲の明るさに関係なく完全に失明してしまいます。
また、網膜が障害を受けると眼底部から水晶体にかけての部位で酸素や栄養が不足し、白内障も発症しやすくなります。
適切な処置をせずに放置すると症状が進行する一方なので、進行性網膜萎縮(PRA)が疑われる症状があらわれた際は速やかな対処が必要です。
【原因】進行性網膜萎縮(PRA)の原因
犬の場合、進行性網膜萎縮(PRA)の一部で犬種や個体によって複数の遺伝子変異が特定されています。
また、特定の犬種で多くみられているという報告もされており、主に遺伝的要因と考えられています。
猫の場合、先天性と後天性の2パターンがあり、先天性は犬と同様に遺伝的要因が絡んでいると考えられています。
先天的な進行性網膜萎縮(PRA)は稀で、ペルシャ猫とアビシニアンなどの猫種でわずかに報告されています。
一方、後天的な進行性網膜萎縮(PRA)は栄養欠乏やタウリン欠乏が原因になって引き起こされることがほとんどです。
【治療】進行性網膜萎縮(PRA)の治療
現在、進行性網膜萎縮(PRA)の効果的な治療法は確認されていません。
タウリン欠乏が原因による猫の進行性網膜萎縮(PRA)の場合は、タウリンが十分に含まれたキャットフードを与えて進行を抑えることは可能です。
しかし、あくまでも進行を抑えるだけで症状そのものを治療することはできません。
いずれの場合も、一度変性した網膜を元に戻す有効な治療法はありませんので、飼い主さんが日常生活の中で気をつけてあげる必要があります。
【予防】進行性網膜萎縮(PRA)の予防
治療法と同様に、進行性網膜萎縮(PRA)には効果的な予防法が見つかっていません。
猫の場合、ドッグフードを与えないようにしてタウリンが不足しないよう気をつけることで、タウリン不足が原因で発症する可能性を低くできます。
また、他の目の病気や腎不全から網膜に異常があらわれることもあるので、定期的な健康診断を行い、病気の早期発見・早期治療を心がけましょう。
遺伝性の進行性網膜萎縮(PRA)の場合は、交配時に注意することで、生まれてくる子犬や子猫にこの症状があらわれる可能性を低くできます。
遺伝子変異が認められている個体を交配させるのは避け、症状が遺伝してしまう可能性を極力下げましょう。
犬の場合でも猫の場合でも、ペットの様子を日頃から観察し、少しでもおかしい様子があれば速やかにかかりつけの獣医師の診察を受けましょう。