ノミが猫に寄生するとどうなる?~引き起こす症状と駆除について~

猫にとってもノミは、もっとも一般的な寄生虫のひとつです。寄生すると猫の被毛の中に潜み血を吸って生きるノミですが、刺されることによって猫にはどんな症状が出るのでしょうか?また、人にもうつることがあるのでしょうか?ノミが引き起こす病気と、その対応についてご紹介します。
ノミが猫に寄生して引き起こす症状とは
数多くあるノミの種類のなかで、一般的に猫に寄生するのはネコノミです。ノミは寄生しながら血を吸って繁殖すると同時に、かゆみなどの症状を引き起こします。さらに他の病気の原因ともなってしまうためとてもやっかいです。
(1)ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液や糞がアレルゲンとなり、アレルギー反応を起こす皮膚炎です。ノミに咬まれることで発症し、激しいかゆみや湿疹、脱毛の症状を引き起こします。一度かかるとその後は少数のノミに寄生されただけで皮膚炎を再発し、完治まで長い時間がかかるとされています。
(2)ヘモバトルネラ症
ノミやダニなどを媒介して感染するといわれている病気で、ヘモバトルネラフェリスという菌が、ノミに咬まれることで猫の体内に侵入して発症します。この病原体は赤血球に寄生して赤血球を破壊し、貧血、食欲減退、元気の低下などの症状があらわれます。
(3)瓜実条虫症
サナダムシともよばれる瓜実条虫も、ノミを媒体にして感染する寄生虫です。瓜実条虫は体長が50cm以上にもなることがあり、白く平べったい形状をしています。ノミの幼虫が瓜実条虫の卵を食べるとその体内で発育し、そのノミをグルーミングの時などに猫が飲み込んで体内に取り込み、瓜実条虫が小腸に寄生します。下痢、嘔吐、食欲不振、体重減少などの症状を引き起こします。
人への影響は?
ネコノミは人にも害をもたらします。ノミの吸血によるノミ刺咬症は、ノミの唾液が刺激となってはげしいかゆみを引き起こします。患部を掻きむしって傷ができると二次的に細菌感染し、ひどくなると水ぶくれのような症状が起こることもあります。
また、ノミによってバルトネラ菌に感染している猫に咬まれたり引っかかれたりすると、猫ひっかき病という感染症になることがあります。猫には目立った症状はあらわれませんが、人が感染するとリンパ腺の腫れや発熱の症状が出ます。
さらに、瓜実条虫をもっているノミをつぶして手に付着し、誤って口のなかに入れてしまうと瓜実条虫症に感染します。ほとんど症状は出ないものの、とくに子供の場合は下痢や腹痛を引き起こすため注意が必要です。
治療と駆除
ノミの治療は、まず症状の軽減をはかるために抗アレルギー剤やかゆみを抑える薬などで対症療法が行われます。また、フロントラインなどノミの駆除剤もネコノミに有効です。これらの方法で治療・駆除を行うとともに、生活環境を清潔に整えることも大切です。掃除機をまめにかけたり、シーツや布製品を消毒・洗濯して、成虫だけではなく幼虫や卵まで飼育環境のなかからできるだけ排除する必要があります。